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2017年01月16日

【農業×海外】タキイブラジル

今回のインタビューテーマは「農業×海外」。
近年のグローバル化に伴って、国内の農業界企業も海外に進出し事業規模を広げています。
その農業界の中で最も川上に位置するのが種苗業界です。国内をはじめ、世界中の人々の食と農の基盤を支えています。今回は、そんな種苗業界のリーディングカンパニーであるタキイ種苗株式会社で海外を舞台に活躍されているタキイブラジルの松下宏美様にお話を伺いました。
(取材:2016/10/09、ブラジル サンパウロ市の飲食店にて、記者・松崎|掲載:2017/1/16)


タキイブラジル松下さん.jpg

―はじめに御社について教えてください。

 当社は今年(2017年)で創業182周年を迎えます。種苗メーカーとして、常に時代のニーズに対応した特性を備える野菜や花のタネを開発してきました。現在では世界約120の国や地域へ商品を販売しています。従業員数は約750人ですので社員同士の顔もほとんどわかり、非常に風通しの良い会社ですね。

―世界中で事業を展開しているとてもグローバルな会社ですね。現在駐在されているタキイブラジルについても教えていただけますか。

 農業大国であるブラジルをはじめ、コロンビア以南の南米での販売を管轄しているのがタキイブラジルです。現在日本人駐在員が2名、現地スタッフを含めると全員で25名が働いています。

―ブラジルだけではなく南米全体を管轄しているのですね。

 そうですね。私もブラジル国内ではなく、エクアドルやコロンビアといったブラジル以外の南米を担当しています。
 メインの業務は、代理店との商談や農家さんへの訪問、そして本社とのやり取りです。中でも、タネの直接の販売先となる各国の代理店とは長い付き合いがあり、各地域の気候風土や食文化にあった商品を推進・販売していただいています。
 代理店へは定期的に訪問し、品種ごとの売り上げを確認します。売り上げが下がっている商品があった場合は、なぜその商品の売り上げが下がっているのか原因を調べ、それに対して「他のメーカーの商品はこういった点が弱いですが、当社のこの商品ならこういった利点があるのでいいですよ」というような具体的な提案をします。常に農家さんの目線で提案することを心がけていますね。ですから自社商品だけではなく、他社商品も含めて幅広い知識が必要です。また、同時に現地の情報収集も行います。先日も玉葱産地訪問のためにエクアドルに行ったのですが、その際に隣にキャベツ畑があったため、現在使用しているタネの種類や栽培方法に関して話を聞き、当社の商品を提案しました。周辺情報も確認し会社に持ち帰り共有しておくことで、いつでも必要な時に活かせるよう準備しています。
 さらに代理店だけではなく実際に農家さんを訪問し、技術的な指導も行います。栽培過程で問題が起こった場合は、原因を突き止め、的確なアドバイスを行うといった具合です。
 ちなみに私は文系出身ということもあり、こういった技術的な指導が必要な場合は農学部出身の現地スタッフと共に出かけています。

―文系出身ですか!どのような経緯で入社されたのでしょうか。

 大学時代にスペイン語を勉強していたので「語学を活かして仕事をしたい」と考えていました。就職活動の際は「海外で働けるかどうか」を軸に、大小問わず商社からメーカーまで幅広く考えていました。特別、農業や種苗にこだわりを持っていたわけではありませんが、実家が兼業農家なので漠然と興味はありました。
 中でも当社は、種苗に関して唯一無二の商品をたくさん扱っています。そういったオンリーワンな商品を世界中に広めたいという想いから当社を志望し、「海外営業職」で採用され入社しました。

―学生の頃から海外で働きたいという強い気持ちがあったのですね。入社直後から海外で活躍されていたのですか。

 私は入社して約10年になりますが、1年目と2年目は日本で農業や仕事の基礎を学びました。

 当社では入社1年目に本社や農場で研修があります。当社は京都府に本社があり、滋賀県に研究農場がありますが、その農場には当社が運営する「タキイ研究農場付属 園芸専門学校」も併設されており、約4ヶ月泊まり込みで学生さんと一緒に勉強します。品種開発を手掛けるブリーダーの講義を聞いたり、実際に畑で管理作業を行いながら、植物生理の基礎について学びました。また、本社研修では、販売用種子の品質を確認する部署や、種子管理〜製品化を行う部署での仕事を通じて、高品質種子の販売に至るまでの過程についても理解を深めます。営業職であっても農業に関する専門知識は必要になってくるので、入社1年間を通じて基礎知識をしっかり身につけます。研修を通して、他部署の人間とも顔見知りになるので、その後も何かあった時に連絡が取りやすくなるというメリットもあります。
 2年目は基本的な輸出業務を通して貿易実務を身につけます。特に輸出業務では、営業担当者とアシスタントがペアになって仕事をしますが、営業担当者はアシスタントの仕事のチェックもするので、アシスタントの仕事を理解する必要があります。それもこの期間に身につけていきます。
 そして、3年目から本格的に海外へ出張できるようになります。

 私も最初のうちは京都本社から出張ベースで海外営業を担当していました。最初は欧米、次にタイとベトナム、その後、結婚出産のため一時お休みをいただき、復帰後はまた欧米を担当していました。その後、2年間の南米担当を経て、昨年(2016年)4月からタキイブラジルに駐在しています。単身赴任ですので、夫と子どもは日本にいます。

―出張ベースから駐在員に変わったことで、仕事にはどのような変化がありましたか。

 出張ベースの時と比べると、より深く現場に入り込める環境で仕事ができるようになりましたね。時差も少なく、距離も近いため、メールや電話でのやり取りがタイムリーにできますし、実際に畑へ行き作物を見られる機会も増えました。駐在だからこそ、仕事の幅もより広がりましたし、チャンスをくれた会社にも感謝しています。何より、理解して背中を押してくれた家族には、本当に感謝しています。
 また、プライベートの過ごし方も変わりました。サンパウロには様々な業界で働く日本人駐在員がたくさんいるので、食事やスポーツを通して駐在員同士の交流が増えましたね。国内では他の業界の人と関わる機会が少ないので、バックグラウンドの異なる人の話を聞けるのはとても楽しいです。

―海外での仕事を通して、どのような時にやりがいを感じますか。

 やはり農家さんに喜んでもらえた時が一番嬉しいですね。自社商品の提案から始まり、収穫まで携わるため、良い作物が収穫できて「ありがとう」と言われると、「この仕事をやっていてよかったな」と思います。そして、出来た作物が世界中の人々に食べてもらっていると考えると、食の根幹を担う、非常にやりがいのある仕事だなと思いますね。
 また、海外で働いていて「面白いな」と感じるのが、様々な部分で各国の特徴を見られる点です。例えば畑の畝(うね)の作り方一つとっても、各国の国民性が見て取れてとても面白いですよ。

―やはり仕事をする上で、やりがいや面白さを感じられるかどうかはとても大切ですね。

 そうですね。仕事をするためにはたくさん勉強しなければいけないことがあります。しかし、興味があれば勉強も続けられますよね。
 これから就職活動をする学生さんには、ぜひ「自分が興味のあることは何か」を考え、自分にマッチしたやりがいや面白さを感じられる会社と出会ってほしいと思います。個人的には、就職活動は業界にこだわらず、様々なところを見た方が良いと思います。いろんな業界の話を聞く機会は就活くらいしかないですからね。ただ、その時期は授業やゼミもあり、本当に忙しいと思います。私も「説明会の予約をしたけど授業でどうしても行けなかった」という経験もあります。「自分のできる範囲で」というのが前提条件ですが、多くの社会人の話を聞くことで、将来自分が働く姿をイメージしやすくなると思いますよ。

―貴重なアドバイスをありがとうございます。最後に種苗業界や御社に興味のある学生に向けて、一言お願いします。

 当社には、日本をはじめとしたアジアではある程度の知名度と実績があります。しかし欧米や南米などではまだ十分とは言えません。よく言えば、守るものはなくて攻めていくだけ。的確なアドバイスをくれる人もたくさんいるので、国内外の農業分野で若い時から積極的にチャレンジしたい方には合っていると思います。もし現時点で英語があまり得意ではなくても、基礎さえできていれば英語を使った業務を通して上達するので大丈夫です。少しでも興味のある方は、ぜひ当社の採用HPもご覧ください!



〜もっとタキイ種苗(株)さんを知ろう!〜

 




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
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2016年12月23日

日本政策金融公庫 農林水産事業

日本政策金融公庫 農林水産事業

「現場に近いところで仕事をしています。現場に行かないと、農業経営の真の姿は見えてきません。」
そう話すのは、日本政策金融公庫 農林水産事業の職員の皆さん。「社名から堅い会社をイメージされる方もいらっしゃるようですが、必ずしもそんなことないですよ!」と話す皆さんですが、実際にはどのようなお仕事をされているのでしょうか?人材開発室 人事第一グループの、和田さん、池田さん、竹本さんに伺いました!
(取材:2016/11/08 掲載:12/23)

農林公庫(1).jpg
(左より、和田さん、竹本さん、池田さん)

―貴社の事業内容について教えてください。

和田さん
 当社は大きく「国民生活事業」「農林水産事業」「中小企業事業」の3事業に分かれています。その中で、私たち「農林水産事業」は、一言で言うと大きく4つの分野――農業・林業・漁業、そして食品産業の事業者の方々へ融資をしています。

―「融資」ということは、事業にかかる資金を貸し出すことで事業者の皆さんのサポートをされているということですね。一般的な銀行とはどのような違いがあるのでしょうか?

竹本さん
 当社は株式の100%を国が保有する政策金融機関です。国の政策を金融面から後押しするという役割があります。
 例えば、新たに農業を始める方を資金面から支援する「青年等就農資金」や農業経営の改善に必要な投資に幅広くご利用いただける「スーパーL資金」(農業経営基盤強化資金)、農林漁業者が災害を受けたときや社会的・経済的環境の変化により資金繰りに支障をきたしているときにご利用いただける「農林漁業セーフティネット資金」などがあります。当社が行う融資の中には無利子のものもあり、その点も他の銀行さんとは違いますね。

―国の仕事に近いことをされているんですね。社名の通り、“日本の政策を金融で支える”会社ですね。

竹本さん
 そうですね。ただ、社名を聞いたときに「堅い会社なのかな」って印象をお持ちになる方もいらっしゃるようですが、実際はすごくお客さまに近いところで仕事をしています。

農林公庫(2)和田さん.jpg 和田さん
 お客さまを理解するためには、現場に行ってお話を伺い、自分の目で見させていただくことが一番大切です。
 私たちには農業金融に関する専門的な知識はありますが、現場で生じているお客さまの課題や悩みについては、実際に行ってお話を伺わないと分からないですから。

―そうなんですか!室内でひたすら計算をしているイメージでした…。皆さんも現場に出られることが多いのですか?

和田さん
 支店の職員は、基本的に現場に行って仕事をしているイメージですね。どのような現場に行くかは、配属される支店によって様々です。
 例えば、私が以前勤務していた岐阜支店では、飛騨牛で有名な地域ということもあり、肉用牛農家さんが多かったですね。加えて、同じ畜産経営でも養豚、養鶏などの他、稲作、畑作、施設園芸といった耕種経営を営む方もいらっしゃいました。
 一方で、特定の作物の大産地にある支店、例えば新潟支店では、稲作農家さんが多いといった特徴があります。

―イメージでは大規模農家さんにのみ融資をされているのかと思っていたのですが、家族経営の方にも融資をされているのですか?

和田さん
 お客さまの経営規模は様々です。売上が億を超えるような企業的経営の方もいらっしゃれば、比較的小規模の家族経営の方もいらっしゃいます。

―取引先の幅も広いのですね。これまで様々な農家さんと接してこられたと思いますが、仕事の中で印象的だったエピソードを教えてください!

農林公庫_竹本さん.jpg竹本さん
 私は、ある支店にいた時に、就農4年目の稲作経営を営む方に6千万円もの融資を実行できたことがとても印象的でした。
 実はそのご融資は、当時の売上高の3倍近くもの投資だったんです。リスクを考えると「その金額は融資できない」という判断もありえますますが、「それだけの金額を希望するのには何か背景があるはずだ」と思い、実際にそのお客さまを訪問して背景をしっかりと聞き取りしました。そうしたところ、その方は地域の担い手として大変期待されている方で、周囲の農家さんがそのお客さまに農地を預けようとしていたのです。そのため、今後の規模拡大を考えると大きな施設整備が必要だと判断し、融資を希望されていたのです。
 しかし、「これから農地がどんどん集まってくるから融資が必要だ!」というお話だけで融資する訳にはいきません。そこで、そのお客さまの農地賃借に関する書類を確認させていただきました。すると、続々とそのお客さまに農地が集まっていることが分かり、投資規模が決して過大なものではないことが判ったんです!その後、上司への報告やそのお客さまとのやり取りなどを経て、希望額を全額融資することが出来ました。私はその後転勤したためそのお客さまの担当を外れてしまったのですが、今ではそのお客さまは地域で耕地面積が2位の大規模な稲作経営者になったと伺っています。
 私たちの強みは、お客さまに寄り添いつつ、多くの現場経験を通じて高い専門性を培っていることだと思っています。それを体現できた、非常に印象深い経験でした。

和田さん
 私は、岐阜支店にいたときですが、ある報道の影響で飛騨牛の相場が大暴落したことがありました。それまで一頭120万円で売れていた牛が80万円になってしまい、「次の子牛を導入する資金がない」「エサが買えなくなる」という事態になったのです。そのとき、多くの肉用牛農家さんに当社の「セーフティネット資金」や「スーパーL資金」を融資させていただきました。そのことが非常に印象に残っています。突発的なことが起きたときに力を発揮できるのも政策金融機関ならではだと思います。このときは、当社の仕事に対してやりがいや使命感を強く感じました。

農林公庫(4)池田さん.jpg池田さん
 私は、本店の審査部にいたときに、災害時の審査の方法を変える業務に携わっていました。一般的に融資では担保や保証人が必要となりますが、「無担保・無保証でより迅速に対応する」という一時的なルールを作り災害復興を支援するためです。このとき「無担保・無保証にした場合にどのような影響が出るのか」という分析やリスク計算を、他の部署も交えて短期間で行わなくてはならなかったので、その当時はすごく忙しく仕事をしていました。
 しかし、それが形になり、実際にお客さまへの融資が始まると「頑張ってよかったな」と思いましたし、新聞等で「公庫が相談窓口を設置して被災者への対応を積極的にやっている」という記事を見たときには本当にやりがいを感じました。こうした迅速な取組みができることも当社の特色の一つだと思います。

―お話を伺うと農業や金融に関する専門的な知識が必要だと思ったのですが、学生のうちに学んでおくべきことはありますか?ご自身の就活時代や入社時のエピソードも踏まえ、アドバイスをお願いします!

和田さん
 現場で先輩職員のバックアップを受けつつ実務を覚えていくOJT(※)があるので、学生時代に金融の知識がないからといって心配する必要はありません。私自身も、大学では農業化学を専攻していたので、金融や法律、経済の知識がない状態からのスタートでした。
 私が当社を志望したのは、農業を産業として飛躍させていきたいと思ったからです。私の実家は農村地帯で、自分の実家にも田畑があるなど、小さい頃から農業がとても身近な存在でした。そうした環境もあり、子供の頃から漠然と「農業の世界で仕事をしたい」と思っていたのですが、就職活動の時に「いま日本の農業に求められているのは農業経営体を強くすることだ。そこで一番必要になるのはお金だ」と思い、農業経営を資金面からサポートできる当社を選びました。金融などの知識がなくても、一番大切なことは、農業を含めた一次産業への想いだと思います。

(※「on-the-job training」の略。日常の業務を通じて従業員に教育すること。公庫では若手職員に対し、先輩職員がマンツーマンで業務のフォローを行っている)

池田さん
 現場でのOJTはもちろんですが、入庫後は数カ月間の新入社員研修があり、そこで学べることも大きいと思います。私は、学生時代は農業経済学科にいたので割と当社の仕事に近いことを学んでいましたが、専門科目よりも農業実習や農村調査に夢中になっていましたので、その研修で学べたことは大きかったですね。
 新入社員研修では、公庫の業務内容や資金制度はもちろん、それらの基礎となる金融や簿記など、様々なことを学びます。新入社員研修が終わると支店に配属されますが、基礎知識を身につけてから支店に出られたのは良かったと思います。

竹本さん
 私は学生時代は水産経済学を専攻しており、将来は「日本の水産業のために仕事をしたい!」と思っていたので、金融どころか農業の知識もほとんどありませんでした。しかし、とある会社説明会で採用担当者に水産業への想いを熱く語ったところ、「あなたの水産業に対する想いは分かった。ただ、水産業だけじゃなく、一次産業全体を盛り上げてくれ」と言われ、その時初めて農業にも目が向きました。
 学生時代から「人の役に立つ何かがしたい」と思っていたこともあって、公共的な視点から日本の一次産業を支えられるという点に共感して、当社を選びました。
 実は、仕事を始めた頃は「コンバイン」さえも知らなかったのですが、当社は研修制度が整っていますし、詳しく教えてくれる先輩もたくさんいますので、知識はどんどん増えていきました。そして何より、現場でお客さまに教えていただくことを非常に大切にしています。私は、「お客さまの経営発展と自己成長が一緒にある」、そのようなイメージで仕事をしています。

―最後に、学生にメッセージをお願いします!

和田さん
 私たちの仕事は、日本の農業を支える経営者の方々に寄り添って共に歩み、更なる経営の発展に向けて新たな道を切り拓くお手伝いをする仕事です。だからこそ、果敢に新しいことに取り組み、前例にとらわれない仕事に挑戦する、そのようなチャレンジ精神と高い志を持った方を私たち公庫は求めています。
 農業と食に高い関心を持っている方や、日本の一次産業の成長産業化、地方創生といった分野に興味を持っている方は、ぜひ当社の門を叩いてください。


〜もっと日本政策金融公庫 農林水産事業さんを知ろう!〜

 




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
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2016年09月30日

全国に広がる「援農隊」!〜地区推進事業者〜【西宇和みかん支援隊】

全国に広がる「援農隊」

「援農隊事業」の仕組み.jpg農業の担い手不足が叫ばれている中で、全国に広がる「援農隊事業」をご存知でしょうか? 2014年に農林水産省が呼びかけ、全国各地で援農の仕組みづくりが推進されています。
今回は、「援農隊事業」がスタートした背景から現場の生の声まで取材しました!

「援農隊事業」の詳細はこちらから

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」36号/2016年秋号より転載)

西宇和みかん支援隊

西宇和みかん支援隊 (2).jpg 地区事業者の中で初年度から参加されている西宇和みかん支援隊さん。現場での取り組みについて、JAにしうわ 農業振興部 菊池さん(左)と井上さん(右)に伺いました。

―「援農隊事業」に取り組まれたきっかけを教えてください。
 平成26年に「援農隊事業」が始まった時、地域農業への労働力確保や新規就農者確保の仕組みづくりを構築することを目的に「西宇和みかん支援隊」が立ち上がりました。
 実はそれ以前から地域ごとで人材確保の取り組みはありました。例えば、八幡浜市の真穴地区では20年以上前から農繁期の人材確保を目的とした「みかんアルバイター」制度があり、八幡浜市では平成25年から交流や農作業ボランティアを目的とした「八幡浜お手伝いプロジェクト」があります。それらは、人口流出や高齢化により地域内での人材確保が難しくなったために始まったという背景があります。
 一方で、「この地で就農したい」という相談が来たときに、受入体制が構築されていなかったために定着させることができなかったということもありました。そこで、自治体やJA等が連携して受入れの仕組みづくりをするため、この「援農隊事業」を活用することにしました。我々はその事務局として、人材の募集や面接、マッチングをしています。

―実際に、どのような方が応募されていますか?
 「みかんアルバイター」は平均年齢が32歳で、社会人や大学生の方など幅広くいらっしゃいます。大阪や東京など県外の方が多く、就職の決まった大学4年生や企業によっては採用した学生の研修先としてご紹介いただくこともあります。リピーターも多く、去年は180人のうち50人程がリピーターでした。「八幡浜お手伝いプロジェクト」は松山市やその周辺の方が多くいらっしゃいます。土日に実施することが多く、有償ボランティア(※)で副業にもあたらないので、公務員の方も多くいらっしゃいますよ。

―若者が参加することで何か 変化はありましたか?
 受入先や目的によって違うと思いますが、例えば高齢の農家さんが多い地区に大学生がボランティアに行ったとき「若い人の声が地区に響くだけで十分だ」と仰っていたのは印象的でしたね。
 あと、受入れが初めてで「本当に役に立つのか、遊びに来るだけじゃないか」と言っていた農家さんも「仕事をしてもらって助かっている」と意見に変わるなど、良い方向に意識が変わってきたと感じています。今年度で当地区の「援農隊事業」は終了しますが、補助事業終了後も色んな仕組みづくりをしていきたいですね。

―今後の目標を教えてください!
 アルバイターの産地リレーを作りたいですね。例えば、愛媛での援農が終わればスタンプを押して沖縄へ、沖縄が終われば北海道へと回っていき、スタンプが全てたまると何かもらえるような。そうすると各地で安定した人材確保ができますし、募集費等が下がる分、アルバイターにボーナスを出せるかもしれない。そして、当地をはじめ気に入った地域で就農する学生や若者が増えていけば嬉しいですね。

(※)農作業を手伝う「お手伝いワーカー」には、バイト代ではなく、八幡浜市内で使えるクーポン券を支給している。

西宇和みかん支援隊 (1).jpg
△廃校を改修した宿泊・合宿施設「マンダリン」。援農隊員もよく利用している。

西宇和みかん支援隊

みかんの産地、愛媛県西宇和地区にある支援隊。将来の担い手づくりや安定した労働力確保に向けて、自治体・農業委員会・JAといった関係機関・団体が連携し設立された。2014年5月から地区推進事業者として活動を始める。




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
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全国に広がる「援農隊」!〜全国推進事業者〜【パソナ農援隊】

全国に広がる「援農隊」

「援農隊事業」の仕組み.jpg農業の担い手不足が叫ばれている中で、全国に広がる「援農隊事業」をご存知でしょうか? 2014年に農林水産省が呼びかけ、全国各地で援農の仕組みづくりが推進されています。
今回は、「援農隊事業」がスタートした背景から現場の生の声まで取材しました!

「援農隊事業」の詳細はこちらから

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」36号/2016年秋号より転載)

株式会社パソナ農援隊

パソナ農援隊のお二人.jpg「援農隊マッチング支援事業」発足当初から「全国推進事業者」として携わっているパソナ農援隊さん。具体的な事業内容について、HR事業部 田中さん(写真右)と長谷川さん(写真左)に伺いました(※所属は取材当時のもの) 。

―「全国推進事業者」とは、どのようなことをされていますか?
 「地区推進」として採択されている17地区(平成28年度)の「地区推進事業者」を、仕組みづくりの面で支援しています。

―そうなのですね。てっきり貴社が募集や派遣をされていると思っていました。
 よく「パソナ農援隊が100人も200人も人材を抱えて派遣しているのではないか」と誤解されるのですが、実際に募集や雇用をするのは地区推進事業者です。事業者によって、地域の事情や事業内容は異なりますし、バイトもあればボランティアもあり、宿泊場所の有無、受入先の考え方の違いなど課題は沢山あります。我々はそれに対する解決策を一緒に作り上げたり、地区事業者が一堂に会する全国会議の機会を設けること等により、各事業者の「仕組みづくり」をサポートしています。

―仕組みづくりでは、どのような点を工夫されていますか?
 1つは、地域内の利害関係を超えた受入態勢づくりです。我々は、農家の平均年齢が66歳を超えている現状を考えると、5年以内に仕組みづくりをしなければ仕組みづくり自体が出来なくなるのではないかと危惧しています。だからこそ、互いが利害を主張するのではなく、地域が一体となった体制づくりを進めることが重要だと考えています。
 もう1つは受入側の意識改善です。例えば、「これだけバイト代を出すんだから即戦力になる人にだけ来てほしい」と思っていると、なかなか集まりません。そうではなく、「農業未経験者も受入れる仕組みづくりをしていこう。リピーターになってもらえる仕組みづくりをしていこう」という風に、受入側の考え方を変えていくための研修会も実施します。

―実際に援農に参加される方は、どのような方が多いですか?
 大きく分けて学生、主婦層、シニア層ですね。地域によって実施頻度はまちまちですし、宿泊施設を利用して長期で働く方もいれば、週末のみ参加する方もいらっしゃいます。中には、「やってみたら面白かった」と言ってリピーターになる方もいますよ。

―最後に、今後の展望と学生にメッセージをお願いします!
 今年度は『援農隊部隊』のような、当社から実際に派遣できる実部隊を作りたいと思っています。その中で着目しているのが『大学生』です。農業や環境、食の安全に興味のある学生さんも増えてきていると思うので、学業との両立など課題はありますが、地区推進事業者の方々と上手く繋ぐことで何か面白いことができるのではないかと考えています。
 また、農業界も変わってきていて、若い人のアイディアが必要とされる部分も沢山あります。特に農業は「食」を支える大事な産業。そこに就く人が増えればいいなと思いますし、就農までいかなくても、農業現場に出ることで味わえる感動も沢山あるので、ぜひ「援農隊」をご活用ください!

株式会社パソナ農援隊

13年前に「農業界の若手人材不足の問題を解決したい」との想いからグループ会社の一事業としてスタートし、2011年に同社を設立。農業者や自治体等への経営指導や育成支援など、農業に関する幅広い事業を行っている。




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
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全国に広がる「援農隊」!【農林水産省】

全国に広がる「援農隊」

「援農隊事業」の仕組み.jpg農業の担い手不足が叫ばれている中で、全国に広がる「援農隊事業」をご存知でしょうか? 2014年に農林水産省が呼びかけ、全国各地で援農の仕組みづくりが推進されています。
今回は、「援農隊事業」がスタートした背景から現場の生の声まで取材しました!
全国推進事業者(株式会社パソナ農援隊)の取り組み
地区推進事業者(西宇和みかん支援隊)の取り組み

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」36号/2016年秋号より転載)

「援農隊事業」とは?

援農隊.jpg「援農隊事業」(※1)は、農林水産省さんの補助事業です。
詳細についてご担当者の平井 有貴子さん(農林水産省 生産局 技術普及課/写真右)に伺いました。

―「援農隊事業」の概要について教えてください。
 当事業の政策目標は「繁閑期にあわせた労働力の安定確保」です。具体的には、「地区推進」と「全国推進」を行う事業者を公募し(※2)、一時的な労働力が必要な産地において労働力の確保・育成・マッチング等をするための仕組みづくりを支援するもので、平成26年度から 30年度までの5年間実施します。
 目的は、「援農隊」のモデルケースをたくさん作ること。集めたモデルケースを広くPRし、労働力不足で悩む全国の産地の取組の参考にしていただくことで、全国の産地の底上げをしたいと思っています。

―「援農」という取組み自体は以前から様々な自治体や農業団体等も実施されていますが、この「援農隊事業」ならではの特徴は何ですか?
 事業者同士の横のつながり≠ェできることですね。例えば、当事業では、全国推進事業者が、年4回以上「全国会議」や「テーマ別会議」という形で、全国の地区推進事業者を集めて会議や先進地視察を行うこととしていますが、地域を越えた情報交換によって刺激を受け合ったり、ある地区(事業者)で効果的だった取組みを他の地区(事業者)でも取り入れるという波及効果を生む場となっています。

―最後に、「援農をしてみたい」と考えている学生に一言お願いします!
 「援農隊事業」は就農よりももっと手前にある事業です。農業に踏み込む気軽な一歩として捉えていただければと思いますし、数ある農業現場での勉強の場の一つとして「援農隊」を選んでもらえると嬉しいです。
 少しのお手伝いでも喜んでくださる産地はたくさんありますので、ぜひチャレンジしてみてください!

(※1)正式名称は、農業労働力最適活用支援総合対策事業のうち援農隊マッチング支援事業。

(※2)「援農隊事業」の仕組み
「援農隊事業」の仕組み.jpg



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