農業界地図ロゴ

2017年03月31日

日本政策金融公庫のお仕事<後編>
農業経営を融資でサポート!〜さいたま支店編〜

農業経営を資金面からサポートし、加えて経営改善のアドバイス等も行う日本政策金融公庫 農林水産事業(以下、日本公庫と記載)。
農林水産業専門の金融機関だからこそできるサポートとは?
実際に資金を利用している農業法人の方も交えてお話を伺いました!
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」38号/2017年春号より転載)

農業経営を融資でサポート! 〜さいたま支店編〜

松山さんと坪井さん.png
【農業経営者】 松山英樹さん(写真右)
【日本公庫】   さいたま支店 農林水産事業 坪井泰之さん(写真左)

―松山さんは昨年夏に新規就農されたとのことですが、融資を受けたきっかけを教えていただけますか?

松山さん
 非農家からの新規就農ということもあり、農業機械も資材もなく、加えて手持ち資金も少なかったので、運転資金を確保するため融資を受けたいと思いました。「農業で笑顔を増やしたい!」という理想はありますが、経営の基盤を作らないことには、理想の実現も 挑戦もできませんからね。
 あと、就農をした埼玉県熊谷市は自分の出身地でもなく土地勘もなかったので、就農にあたっては農協の方に相談をしていました。運転資金の確保を考えた時、私が借りたいと思った「青年等就農資金」は日本公庫の資金だったので、農協経由で日本公庫をご紹介いただきました。

―そうなのですね。ご紹介を受けてからどのようなやり取りをされましたか?

坪井さん
 経営計画をご提出いただくことはもちろんですが、技術面やご本人の就農への想い、地域の支援状況なども確認させていただきました。経営計画に関しては、連絡を取り合いながら地域の単収・単価等と比較したり、単収を実現する技術的根拠、規模拡大に必要な農地の確保状況などをヒアリングしつつ、ほかにも、財務や経理のアドバイス、関係機関の紹介などもいたしました。

―お客さまと接する時は、どのような点を大事にされていますか?

坪井さん
 誠実に向き合うよう心掛けています。

松山さん
 おかげさまで想像以上にスムーズに手続きが進み、無事、農機も資材も購入できました。そのおかげで1年目からガンガン作業ができましたよ!

―作目は野菜ですか?

松山さん
 そうです、野菜のみです。ハウス1棟(8畝)と露地7反で季節の野菜を生産し、出荷・販売しています。

―生産技術はどこで身に付けましか?

松山さん
 3年間、隣の市の農家の元で研修をしていました。そこは、自分の理想に近い農業をされていることと儲かっているという点で決めました。かなり忙しい研修先でしたが、「やった分だけ結果が出る」と実感しましたね。世間ではよく「農業は稼げない」って言われますが、やり方次第で大きく変わると思います!

―最後に学生へ一言お願いします!

坪井さん
 当社の農林水産事業は、担い手支援が第一義だと思っています。担い手として頑張るか、担い手を支援する側になるか、選択肢は様々ありますが、農業を盛り立てていくという気持ちがある方と、ぜひ一緒に働きたいと思っています!

松山さん
 農業には夢がある!まずは農業体験を通してそれを実感してほしいですね。そこで「違うな」と思い農業以外の道に進んでも、その業界で必死に仕事をしてほしいし、「農業だ!」と思えば農業の道に進んでほしい。もちろん、新規就農は未経験だと厳しいので、まずは農業研修を積む方が良いと思いますが、農業は若者ウェルカムな業界なので入り込みやすいと思いますし、色々な方に協力いただけると思います。「起業して一発やってやる!」という気合いのある方にもお勧めです!

農業で起業しました!

松山さん.png「起業を考えたときに“農業だ!”って思ったんです」。
そう語る松山さん(31)に、新規就農までの道のりをお聞きしました!

Q. 就農を目指したきっかけは?
A. 大学卒業後、一般企業で働いていましたが、ドライな仕事環境・人間環境が合わず、「自分は本当は何をしたいのか」を真剣に考えました。その時に「自分が関わったコトやモノで皆が笑顔になる仕事がしたい。起業したい」と考え、「農業だ!」と思いました。それが27歳の時です。それからすぐに会社を辞め、3年間の農業研修を経て、昨年夏に埼玉県熊谷市で独立しました。

Q. どうやって農地を取得しましたか?
A. 研修先が隣りの市だったので気候が似ていることと、施設野菜をしたくて借りられるハウスを探している時にここが見つかりました。あと、「地域農業に強い人がいる」と聞けば訪ねたり、農家やJAの方々が集まる会議に参加したり、「本当にできるのか?」と聞かれたときは計画や想いを熱く語るなどをしていると、地域の方々とも仲良くなり、農地もお借りすることができました。情熱をもって動くと、周りの方々は助けてくれると思います!

会社紹介

●日本政策金融公庫 農林水産事業とは?
日本政策金融公庫は、大きく「国民生活事業」「農林水産事業」「中小企業事業」の3事業に分かれています。その中で「農林水産事業」は、農業・林業・漁業・食品産業の事業者へ融資をしています。大きな特徴の一つは株式の100%を国が保有する政策金融機関であること。国の政策を金融面から後押しするという役割があります。
【URL】 https://www.jfc.go.jp/n/recruit/business/business04.html

voice37_13p05.jpg●どんな仕事をしているの?
「社名から堅い会社をイメージされる方もいらっしゃるようですが、必ずしもそんなことないですよ!」と話す職員の皆さまに、就活秘話や仕事のお話を伺いました。
*WEBサイトに掲載中
http://agri-map-interview.sblo.jp/article/177800190.html



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る


posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 金融

【農業×海外】 世界の中の日本農業を考える!

秋澤さん.png「日本の農家として、自分にできることは何かを考えて続けています」
そう仰る秋澤さんは、学生時代にアフリカ、南米、東南アジア、アメリカと、未知の世界に果敢に飛び込んでいき、農業をはじめとした豊富な経験を通じてさまざまな価値観を培いました。
今回は、その経験や農業への想いと、「農業×海外」をテーマにお話を伺いました。

△あきさわ園 秋澤史隆さん(神奈川県小田原市/ミカン農家)

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」38号/2017年春号より転載)

世界の中の日本農業を考える! 〜海外での経験を通して〜

―なぜ海外へ行こうと思われたのですか?
 うちは300年続くみかん農家ですが、父がアメリカに行っていたり、ASEAN地域からの研修生を受け入れるなど外国の方と接することも多く、小さい頃から海外に行ってみたいと思っていました。
 大学は東京農業大学に通っていて、先輩から「海外移住研究部」を紹介されたのですが、そこの先輩たちの話が面白くて!加えて、国際協力について初めて知って衝撃を受けたんです。「わざわざ人のために働く、そういう生き方があるんだ。生きていく手段はいろいろあるんだ」と。そこで、「今しかできないことをしよう」と考えて、2年生の春休みに先輩を通じてセネガル(アフリカ)の村で約2か月農業をしていました。

―セネガルではどのようなことを経験しましたか?
 カタコトのフランス語とアラビア語とウォロフ語(現地部族の言語)でなんとか会話をしていましたが、いろんな人と話すことの大切さや楽しさを実感しました。「一人じゃ生きていけないんだ」とか、「1つの地域や1つの学校にいると、そこだけの視野になってしまうんだ」と感じました。
 あとは、経済格差を実感しましたね。がんばって水やりをして農産物を作っても一生村から出られない人がいる一方で、自分のように一ヶ月がんばって働けば地球の反対側まで行ける分の稼ぎができる国がある。大学に行ける貴重さも、海外へ行ったからこそ知りました。そこで、「日本人だからこそできることをするべきだ」と考えるようになったんです。
 またある時は、みんなでお祈りをして、ヤギや羊を解体して、お肉分け合って、感謝しながらいただく、という場面に遭遇しました。「命をつないでくれているんだ」と思うと同時に、「命を大切にすることが出来なくなってきている日本があるんじゃないか」と感じたんです。今の日本はお金を払えば何でも手に入る世の中だから、モノの価値をお金でしか測れなくなっているんじゃないかって。

voice38_あきさわ園さん(2).jpg

voice38_あきさわ園さん(3).jpg
△セネガルにて

―耳が痛いですね・・・。他にはどこに行かれましたか?
 3年生が終わってすぐに1年間休学して、南米に行きました。

―日本農業とはどう違いましたか?
 根本的に考え方が違いますね。向こうは経営・マネジメントだから。ブラジルでは4人の先輩たちが各々の農場の農場主をしていて、それぞれ10〜20人の従業員を雇っていました。従業員たちの家族も合わせると400人ぐらいになるので、1つの村ができるわけです。農業が地域に果たす役割は本当に大きいなと感じました。
 大学卒業後は、アメリカに2年間行きました。アメリカは自分で営業して自分で売っていくのが基本。普通の企業と変わらないですよ。あと、そのとき食べたドーナツが美味しかった!帰国後、そのドーナツ企業が日本に進出したので「商品開発を学びたい」と思いバイトをしていました。そこで思ったんです。ドーナツは1つ200円以上もするのに、なんで何十年もかけて樹をつくって一生懸命育てたミカンが1つ数十円なんだろうって。付加価値のつけ方についても考えさせられましたね。

voice38_あきさわ園さん(4).jpg
△ブラジルにて

―就農後は、どのような取り組みをされていますか?
 いろんな価値観を得た中で、「自分にしかできないことは何だろう」と考えた結果、「家業を継ごう」と思いました。「自分が農業をしなければ、代々続いてきたこのミカン山は誰が守るのだろう」と思って。
 今は「ほしい未来を創造する」というテーマで、受け継がれてきたものを活かしつつ新しい価値を創造しようと、食育活動や農業体験、イベント、商品開発など色々なことに取り組んでいます。あと、農業って本当はすべての人が関われる仕事だから、いろんな人を巻き込んでいくことが大事だと思っています。農業は命をつくる産業だから、「みんなで一緒に育てようよ」って、そういう農業を目指しています。

―最後に、学生に一言お願いします!
 本当に、今しかできないことをやった方がいい。学生ってなんでも挑戦するバカ者でいいんです。バカ者だからこそ、学生にしかできないことも多いんです。いろんな先生の話を聞きに行ったり、国際会議でもボランティアでも、NGOや国連でも、どんどん挑戦しないと、もったいないと思いますよ。

公式サイト

・あきさわ園 ⇒ http://www.natu-aki.com/



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る


posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 農業法人・農業者

「理想の酪農を求めて」岩谷牧場

小さい頃から「北海道で酪農したい!」という理想を追い求めて、新規就農に至ったご夫婦がいます。
今回は、岩谷牧場 岩谷さんご夫婦(北海道幕別町)にお話を伺いました。

岩谷ご夫婦.png
△智恵さん(左)と史人さん(右)

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」38号/2017年春号より転載)

理想の酪農を求めて

―岩谷牧場さんについて教えてください。

史人さん
 うちの牧場は全部で60頭ほど。作業は夫婦で分担しており、私は親牛担当で日々の搾乳や人工授精などを、妻は子牛を担当しています。

―従業員の方はいらっしゃいますか?

史人さん
 正規雇用はいませんが、酪農ヘルパーさんにお願いしたり、大学生がバイトや実習でよく来ます。特に学生さんには実際の作業をたくさん体験してほしいですね。

智恵さん
 小さな酪農家で体験するからこそ学べること・教えられることが沢山あると思います。除角やワクチネーションなども一緒にすることがありますが、「普通のバイトだと経験できないので勉強になった」と話す学生さんもいますよ。学生さんの将来の夢を聞くのも面白くて楽しみの一つです。

voice38_岩谷牧場さん(2).jpg

史人さん
 私自身、小さい頃から「北海道で酪農したい!」と思い、夢が叶って新規就農できました。その時から、この規模、このやり方の酪農が理想的でした。

―岩谷さんは新規就農者なのですか?

史人さん
史人さんと牛.png そうです。妻も私も出身は本州です。妻とは大学時代の同級生で、妻も将来は北海道に住み動物の仕事をすることに憧れていました。その後いろいろご縁をいただき、平成11年からこの場所で牧場を始めました。
 就農の際は「公社営農場リース事業」を活用しましたが、やはり資金面は大変でしたね。その事業は牛も施設も土地も全部含めて貸すというもので、総額1億円になりました。5年据え置きで返済していくのですが、牛と施設は減価償却が終わっているので、返済自体は6千万円くらいです。ただ、今の時代に同じ規模で新規就農しようと思うと、もっとかかると思います。
 あと、就農当時はトラクターもなくて実習先の方にお借りしていたのですが、牧草収穫が遅いのを見かねた近所の方々が手伝いに来てくれるなど、すごく助けていただきました。地域の方々にも本当に感謝しています。

―最後に、学生に一言お願いします!

智恵さん
 多くの学生さんは牛を扱うことに慣れていないので、牛は逃げるし、十分気を付けないとケガをする恐れもあります。でもそうしたことは、理屈ではなく経験を積んで覚えていくことなので、どんどん経験してほしいですね。

史人さん
 農業はやりがいのある仕事!それに、これからの地域や農業を作るのは「よそ者・バカ者・愚か者」だと思う。だからこそ、学生の間は色々なところで実習をして農業の価値を体感して、将来は農業を仕事にしてほしいですね。



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る


posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 農業法人・農業者

「農業現場でのIT活用。大切なのは人の育成!」有限会社 鍋八農産

トヨタ自動車の農業IT管理ツール「豊作計画」を導入し、効率的かつ安定した農業経営を実践する(有)鍋八農産。「ITを活用するのは人。一番大切なのは、社員の意識改革なんです」と仰る 八木社長に、「豊作計画」導入の経緯や活用状況について伺いました。

voice38_鍋八農産さん(1).jpg
△八木輝治社長(46)

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」38号/2017年春号より転載)

農業現場でのIT活用。大切なのは人の育成!

―まず、御社について教えてください。
 当社は稲作を中心にした農業法人です。作業委託や全面委託が多く、地域農業を維持する機能も担っていると言えます。販路はスーパーや中食・外食業者などで、ほぼ全量を自社で捌いています。そのほか、麦や大豆の生産、米を原料にした加工品販売、等もしています。

―トヨタ自動車(以下、トヨタ)と連携を始めたきっかけを教えてください。
 トヨタとはH23年から連携していますが、最初は愛知県稲作経営者会議 会長からの紹介でした。私は20歳(H3年)で家業である当社に就職しましたが、作業が非効率で毎日夜遅くまで働き、加えて休みがないという仕事形態が嫌でした。そのため、35歳(H18年)で経営権を得て社長になってからは「働き方を変えたい」と思っていました。その意識を持っていたことと、トヨタも当社に興味を持っていただいたことから連携が始まりました。当初はここまで劇的に改善するとは想像していませんでしたが(笑)。

―どのような点が変わりましたか?
 一番は、ムダを省くことで効率が上がったことです。トヨタ式に言うと「カイゼン」ですね。
 「豊作計画」でできることは、作業工程の作成・管理、報告書の自動作成、コスト算出などです。そこで必要となるのは日々のデータですが、その大半は社員各々が現場からスマートフォンに入力したデータです。例えば田んぼ作業には、代掻き、田植え、防除、水管理、稲刈りなどの作業がありますが、社員は各圃場で作業開始前と終了時にスマホに入力します。すると地図上に打たれたピンの色が自動的に変化し、「この田んぼでは○○の作業が終了した」ということが 一目瞭然で分かります。当社は田んぼが2000枚ほどあり、遠い圃場は事務所から20qも離れているので、各圃場の状況がリアルタイムに共有できるようになったのは大きな変革です。

―データ入力は社員さんがされますが、抵抗はありませんでしたか?
 最初の頃は「面倒くさい」とはっきり言われていましたね(笑)。スマホに慣れない社員もいましたし、現場へ行くとすぐに作業を始めたい≠ニいう気持ちになり入力せず作業を開始するというミスも多くありました。しかし、それだと正確なデータが取れません。そこで、社員全員を集めて、何のために「豊作計画」を導入しているのかをプレゼンしたり、実際に集積したデータを見せることで、意識付けをしました。「豊作計画」では 一反あたりの作業時間や、使った資材の原価なども表示できます。このような「見える化」により、作業効率のアップや資材等のムダが減っただけでなく、各々のモチベーション向上にも繋がりました。
 結局、いくらITを導入しても、現場で働いているのは人≠ナす。だからこそ一番大切なのは、社員の育成や意識改革なんです。そこが変わらなければ何も変わりません。
 それと、このシステムを作り上げるために、最初の約1年間はトヨタの担当者が当社に通い農業をしていました。「豊作計画」はまだ実証実験の段階ですが、トヨタも当社も本気で取り組んできたからこそ、得られた結果だと思います。

―現場ありきで進められた結果ですね!最後に、学生に一言お願いします。
 今までのやり方にこだわらず、新しい考えをどんどん出してほしいですね。経験やスキルは重要ですが、それがかえって邪魔をする場合もあり、経験者でないからこそ良いヒントを出せる場合もあります。当社社員は20〜30代の非農家出身者が多いのですが、彼らから学ぶことも多くありますよ。チャネルが多いほど農業にも活かせると思うので、学生のうちに様々な情報を得たり異業種との繋がりを作っておくと良いと思います。

voice38_鍋八農産さん(2).jpg voice38_鍋八農産さん(3).jpg
(左)デジタル化だけでなく、ホワイトボードなどを活用することで、アナログ面からもカイゼンを図っている。
(右)社員13名のうち、12名が20〜30代の非農家出身者。県外から就職した若者も多い。



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る


posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 農業法人・農業者

「酪農のIT化。その本質は、牛の幸せと人づくり」有限会社 竹下牧場

酪農・畜産向けクラウドサービスに特化したITベンチャー・株式会社ファームノート。今回は、そのシステムを導入されている酪農経営者・有限会社竹下牧場 社長 竹下耕介さんに、導入のきっかけや酪農業への想いなどを伺いました。

竹下社長.png
△竹下社長。牛の首には、活動情報を自動収集する装置「Farmnote Color」がつけられている。

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」38号/2017年春号より転載)

酪農のIT化。その本質は、牛の幸せと人づくり

―「Farmnote」を導入されたきっかけを教えてください。
 日本全体の人口が減るなかで、酪農に限らず、どの業界も働き手が減っていくと予測されます。働き手が減っても生産性を上げるためには新しい知恵や知識が必要です。その一つとして「Farmnote」は非常に魅力的でした。
 ファームノートの社長とは知人の紹介で出会いましたが、「酪農に貢献したい」という本気度を感じ、開発段階から交流しています。なお、私はパソコンなどの機器が超不得意で、最近エクセルを使い始めたくらいです(笑)。社長と出会った頃は、たまたまiPadとiPhoneを使い始めてクラウドでのデータ共有や情報ストックの便利さを知った頃で、タイミングもちょうど良かったんです。

―機器が苦手というのは意外です…!実際に導入されていかがですか?
 メリットはいろいろありますよ。一つは、それまで感覚で捉えていたものが数値化されたことです。社員との会話も曖昧だった内容から具体化された内容に変わっていきました。
 特に画期的だったのは、牛一頭一頭のカルテがいつでもどこでも確認できるようになったことです。それまでは、人工授精や病気、治療などの経歴は、関係機関が異なることもあり、バラバラに管理されていました。加えて当社には合計330頭もの牛がいるので、一頭一頭を紙ベースで管理していると莫大な量になります。それら全てが「Farmnote」に集約されるようになり、かなり便利になりました。また、獣医師や飼料会社など、当社の関係機関であればタイムリーにデータ共有できるのもメリットです。
 データ入力は社員が行うので、全員にスマホを支給しています。きちんと入力しないとデータの精度が落ちるので業務時間内に入力できる体制にしました。加えて、それらのデータによって社員 一人ひとりが牛の病気の兆候や発情の予測などをしやすくなったと思います。

voice38_竹下牧場さん(2).jpg
△「Farmnote」は、パソコン、スマートフォン、タブレット、いずれからでも使用でき、いつでもどこでも牛群の情報を管理・記録・分析できる。


―IT化が進み便利になる一方、人間の仕事がなくなったり、ITがなければ適切な判断ができない酪農家が増えるのではないかという懸念も考えられますが、その点はどのように思われますか?
 まず、人間の仕事がなくなることはないと思います。例えば、それまでしていた作業が機械やAIが行うと、その分、新たな時間が生まれますよね?その時間でより本質的な仕事ができると思います。それに、人間は創造していく生き物だから、農業をより良くするために新たなことを創造していくと思います。
 また、ITは農業技術の難しさのハードルをどんどん下げていくと思いますが、それは『農業者のレベルを下げる』ということではなく、『短期間で無理せずレベルの高い農業者をつくること』に繋がります。例えば、それまで5年かかっていた技術習得が1年に短縮できるようなイメージです。今後どんどん働き手が減っていくことを考えると、技術習得までの年数を早めることは重要な課題であり、その視点はどの産業にも役立つと思います。いくらITが進化しても、先人が開拓してきたこの地を守っていくのも、農業を守っていくのも、人ですから。

―人に重きを置いているのですね!酪農や牛にはどのような想いがありますか?
 牛の価値はものすごく無限大です。 一つは、牛は人間が食べられない草を食べて、人間が食べられるように変換して乳を出すこと。もう一つは、乳を出すために新しい生命を誕生させること。つまり酪農は「生み出す産業」なんです。
 それに、酪農家は牛に生かされています。だからこそ、牛には幸せであってほしい。私が考える牛の幸せとは、牛が1日でも長く生きられること。もちろん経済動物なので「経済動物として当社にいる間」となりますが、牛が病気やストレスにかからず、満足に生きられる育成や環境づくりを心掛けています。

―最後に、学生に一言お願いします!
 農業は、生き物や自然を相手にする、一生飽きない面白い仕事!だからこそ人間自体が面白くないと、IT技術や AIに負けると思います。だからこそ、いつまでも「創造者」であってほしい。言い方を変えると「バカ者」、泥臭く言うと「開拓者」であってほしいと思います。

voice38_竹下牧場さん(3).jpg
竹下さんが手にされているのは「Farmnote Color」。持ってみると、ずっしり重い。よく見るとセンサーのほかに重りが付いている。この重りがあることでセンサーが回らず、牛の首の適正な位置に固定されるそうだ。


参考サイト

株式会社ファームノート 導入事例「有限会社 竹下牧場 竹下 耕介 様」
http://farmnote.jp/case/takeshita.html



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る


posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 農業法人・農業者