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2015年03月31日

食を通して、日本農業の活性を!【株式会社モスフードサービス 佐藤秀行】

株式会社モスフードサービス 佐藤秀行

 
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」30号/2015年春号より転載)

「日本農業の活性に寄与したい」。
こう語るのは、株式会社モスフードサービス アグリ事業グループ チーフリーダー 佐藤秀行さん。
同社の産地づくりにも携わってきた佐藤さんに、モスバーガーと農業の関わりについてお聞きしました。

食を通して、日本農業の活性を!

―御社が日本農業と深い関わりを持ったきっかけについて、教えてください。
 アグリ事業部ができたのは1997年ですが、1972年の創業当初から国産野菜を大事にしていました。モスバーガーは純日本生まれのファーストフードチェーンで、一号店は板橋区にある八百屋さんの倉庫を改造して作られました。その縁もあり、野菜は近所の八百屋さんから店長の目利きで仕入れていました。その方針は創業以来、踏襲されていました。

 ところが、90年代前半に「タマネギが辛い」というクレームを多く受けました。使用していたのは国産タマネギでしたが、貯蔵性を高めるために辛みの強い品種を使っていたことが影響していました。その際、「品種のせい」にせず「お客様のために新しい玉ねぎを作ろう」という創業者の考えから、92年に産地である北海道の種苗会社等との共同研究が始まりました。これが農業と関わりを持つ大きなきっかけの1つです。

 もう1つは、お客様に高品質な野菜を均一に提供するためです。例えば以前は、台風により供給が減った影響で、レタスの市場価格が「昨日まで1箱千円だったのに今日は1箱2万円になったうえ品質が悪い」というような事がよく起こりました。それを改善するために、品質や価格を年間を通して安定供給するための産地づくりを本部指導で始めました。これが94年頃の取り組みです。
 そして95年には首都圏の直営店24店舗に産地指定の野菜供給を開始し、97年には 「新価値宣言」と銘打ち、産地指定の生野菜の全国導入を開始しました。合わせて実験農場にも取組み始め、今では全国に4つの自社系農場があります。

―なぜこれほどまで、国産野菜や農業にこだわっていらっしゃるのですか?
 国産野菜は「おいしいものを作りたい」を突き詰めていった結果なんですよ。当時はいろいろ食べ比べをしましたね。
 また、取組みを通し農業経営にも関わり始めると様々な課題が見えてきて、「やはり日本農業は、このままではまずいのではないか」と感じるようになりました。例えば、全てを輸入に頼ると資本は海外に流出してしまいますが、国産にシフトし、国内で頑張っている方々と一緒に仕事をすることで国内の資本が回るようになります。この観点はすごく大事だと思います。
 しかし、全ての原料を国産にすると、かなり高額なハンバーガーになってしまう。その反面、国産の取り組みはお客様からも期待をされています。そこで、なかなか一気にはできませんが、野菜以外にも国産肉を使用したハンバーガーの開発や、キッズメニューでの米粉を使用したバンズ等の開発など、できるところから始めています。このように、少しでもお客様と一緒になりながら、日本農業の活性に寄与したいという想いがありますね。

―そうなると、私達も食を通じて農とつながることが重要になりますね。お客様向けの取り組みもされていますか?
 最近新たな挑戦として、一般のお客様と農場まで行き、収穫したトマトで「モス野菜バーガー」を作るという企画をしましたが、非常に好評でした。他にも、昨年は「モスの日」に店頭でひまわりの種をお渡しし、ご家庭で撒いてもらい、生長過程をネットに投稿してもらうというお客様参加型の企画を実施しました。日常の取り組みでは、店頭に協力農家さんを明記した「野菜掲示板」を出し、その日に使われる主な野菜が、誰が作った野菜なのか分かるようにしています。
 この「野菜掲示板」は、農家さんのモチベーションアップにも繋がるようで、「名前が書いてあり励みになった」「東京の親戚が写メールを送ってくれて感動した」など、嬉しい声をいただきました。もちろん会社としても、社員が畑に手伝いに行ったり、逆に、農家さんをお店にお招きしハンバーガー作ってもらうなど、双方のコミュニケーションも高めています。

―最後に、私たちのような若い消費者が食と農業にどう向き合っていけばよいか、お考えをお聞かせいただけますか?
 「自分の購買行動が国力を支えることにつながる」と考えていただければ嬉しいですね。農業は国力ですから、食を選ぶときは安易に価格だけで判断せず、適正な価格であれば、少しでも国産を選んでいただきたいと思います。当社がその選択肢の一つとなれば嬉しいですし、そうなれるようにこれからも頑張ります。日本ならではの食材を通して、日本の食の良さを伝えていきたいですね。


(左)野菜掲示板 (右)定期的な産地訪問により良好な関係を築く




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
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posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 外食産業
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