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2015年12月31日

「貸し農園」が変える都市住民と地域

「貸し農園」が変える都市住民と地域

 
 皆さんは普段から農に触れていますか?農に触れる機会の少ない都市部では、「自然や土と触れ合いたい」「安全な野菜を自分で作って食べたい」等といった都市住民の願いを叶える場所として、近年、「貸し農園」のニーズが高まっています。
 「貸し農園」には市民農園や屋上菜園など様々な形態があり、運営も自治体や民間企業、農業者など様々です。中には農地を提供するだけでなく、手ぶらで参加できる農園や、講習会やバーベキュー等のイベントが開催される農園も多くあります。
 ところで、利用者の方は農と触れ合うことでどういった変化があるのでしょうか?その実態を知るべく、大阪府の都市部で貸し農園を運営する「北加賀屋みんなのうえん」さんにお話を伺いました。
☆上写真:取材に応じていただいた金田さん
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」33号/2015年冬号より転載)

まちを繋ぐ 農のちから

―「北加賀屋みんなのうえん」さんの成り立ちについて教えてください。
 ここ北加賀屋では、「北加賀屋エリアを創造性あふれる魅力的なまちに変えていく試みをしよう」と、2009年に「北加賀屋クリエイティブビレッジ構想」が提唱されました。その一つとして、「北加賀屋みんなのうえん」は始まりました。
 この辺りは空き家や空き地が沢山残っていますが、そういう場所は駐車場になりやすいので「それを活用していこう」となりました。具体的には、その空き家に若いアーティストを誘致して「アートやデザインという文化の力で元気にしていこう」という取組みです。
 ただ、やっぱり地域のおじいちゃん・おばあちゃん達も一体となって取組むには「アートと地域をつなぐためのテーマがもう一個いるな」となって「農や!」となりました。食べることは年齢も関係ないですからね。


△空き地を利用した農園。多くの人が集う。

―地域づくりをベースにした農の取組みなのですね!農園も様々な特徴がありそうですね。
 一番大きな特徴は「チームコース」という参加方法があることです。例えば「農をやりたい」と思う人の中には「あまり時間がない」という理由で踏み出せない人も多いんですよね。そういう人たちを僕らの方でマッチングをして8人ぐらいのチームにします。チームメンバーで水やり当番を決めたり、畑の企画やイベント企画などを考えながら、農にふれ合います。

―どのような方が利用されていますか?
 今はとにかく女性が多いんですよ。この農園はコミュニティー感が強いので女性の方が参加しやすいのかな、と思います。地域的には、自転車圏内の方が6割ぐらいで、大阪市内から電車に乗ってくる方もいれば、わざわざ京都から参加される方もいます。無農薬栽培という特徴に惹かれて参加される方も多いですね。

―野菜を育てて食べるまでを通して、利用者の方に何か変化はありましたか?
 「食べること」がゴールの方が多いですね。それもあり、敷地内にはサロンスペースやキッチンもありますが、これらは利用者の方の声があって生まれたんです。
 また、当農園では、利用者の方が楽しむことに加え、町内外の方にもこの取組みを広めることを大事にしています。具体的には、マルシェへ出店したり、利用者の方によるイベント企画を実施することもあります。先日は、チームコースの利用者の方たちがこのサロンスペースでカフェを開きました。皆で石窯を作り、パンを焼き、ランチプレートを作りました。皆で作り上げる楽しみを追及している方が多いですね。
 それに加えて、栽培を通して色んな発見をしたり、栽培面でスキルアップをしていくと、さらに面白くなると思います。無農薬に憧れてこの農園を利用されている方の中には、栽培してみると虫に食べられてしまい、思った以上に収穫量がないという場合もあります。そういった大変さや現実を知ってもらうことは、気づきとしてあるかもしれません。


△アパートを改築して造られたサロンスペース

―今後の目標を教えてください。
 少し大きな話をすると、この市内にも空き地はまだまだありますし、日本中見渡しても空き地が問題になっています。都市部の空き地の多くは「宅地」に分類されますが、宅地は農地に比べ固定資産税が高く、普通に貸し農園をしてもなかなか儲けることができません。それでも「こういう風にすれば経営が成り立つ」というモデルをつくることができれば、他の都市でも同じように広がっていくと思います。「駐車場だらけの町」という課題も、方法によってはプラス変えていける可能性があります。ですので、「北加賀屋みんなのうえん」の仕組みを全国へ展開できれば面白いなと思っています。


・北加賀屋みんなのうえん 【公式サイト】http://minnanouen.jp/



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
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posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 様々な取り組み
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