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2017年03月30日

地域と共に。〜JAあつぎ食農教育プラン 夢未kidsスクール〜

「『食にはこれだけ多くの人が関わっているんだ』ということを知り、農や食を『見極める目』を育ててほしい」。そう仰るのは、JAあつぎ食農教育担当の小池さん。今回は、小学生を対象にした食農教育事業「夢未kidsスクール」にかける想いを伺いました!
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」37号/2016年冬号より転載)

地域と共に。 JAあつぎ食農教育プラン 夢未kidsスクール

―「夢未kidsスクール」の活動内容を教えてください。
 JAあつぎ管内の小学4〜6年生を対象に、1年間を通して食農教育を行っています(定員32名)。当事業は7年目になりますが、毎年少しずつテーマや内容を変えています。今年は「目指せ!もち米マイスターへの道!」というテーマで、5月の田植えから始まり、稲刈り・販売・もちつきと、栽培から口に入るまでの一連の流れを学べる企画にしました。田んぼ作業以外にも、地域の農家さんの畑を見学させていただいたり、農家さん指導のもと収穫した野菜を使ってメニューを考えて調理したり、厚木市職員の方に当県(厚木市)の農業について教えていただいたり、運営にも関わってくださっている東京農業大学の先生や学生さんから食の大切さを教わったりと、盛りだくさんな内容になりました。

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田植えの様子。田んぼは1反あり、全て手植え・手刈り。

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調理実習の様子。地場の農畜産物でオリジナル料理作り!

―農家さんや大学など、様々な方との関わりがあるのですね。
 当事業では、JA・農家・行政・大学がネットワークを組み「食について自分たちの問題として認識」することを目的の一つとしています。東京農大の先生ならびに学生ボランティアをはじめ、様々な分野の多くの方々からご協力をいただき運営ができていると実感しています。子ども達も毎回様々な「先生」から農や食を教えていただけるので、大変勉強になっているようですよ。

―どのような時に子ども達の成長を感じますか?
 毎回日記を書いてもらうのですが、その日に学んだことを細かく書いてくれるお子様が多く、「こんなところまで学んでくれていたんだ!」と驚かされることがよくありますね。
 また、夏に実施した田んぼの生き物調査では、最初は気が進まずなかなか田んぼに入らなかった子も、気付けばどんどん田んぼに入っていって、自分が植えた稲の状態、田んぼにいる生きものを観察し、田んぼの役割まで学んでいました。秋には、10月に全て手刈りで収穫をしました。そして11月の農業まつりでは「自分たちで作ったお米です」と言って一生懸命販売をしていました。毎年、もち米を販売したお金は復興支援と社会福祉協議会へ寄付をしています。
 今は買えば何でも手に入る時代ですが、農産物ができるまでの大変さを体験してもらうことがすごく大きな学びに繋がると思います。

―今後の目標を教えてください!
 今は小学生が対象ですが、保護者をはじめ様々な方に、地産地消や農業理解を促していきたいですね。

先生と学生に聞く!

37号_JAあつぎ夢未kids (1).jpgこの活動に参加されている東京農業大学農学部の御手洗(みたらい)助教と学部4年生の神辺さんにもお話を伺いました!
(写真 左:御手洗助教、右:神辺さん)

―「夢未kidsスクール」ではどのような関わり方をされていますか?

御手洗助教: 参加者(小学生)同士が仲良くなれるように間を取り持ったり、活動がより楽しくなるようなサポートをしています。また、全10回のプログラムのうち1回は「農大プログラム」といって大学に子ども達が来る回があるので、「大学だからこそ味わえる取組みをしてもらおう」と企画を考え実施しました。

―活動を通して得たことは?

神辺さん: 私はこの活動を卒論のテーマにしています。その一環で毎回同じ内容のアンケートを取っているのですが、参加2年目・3年目の子の方が高い目標を掲げている傾向にあり、農作業によっぽど興味があるのだと思いました。

御手洗助教: 私は、子ども達にもっと農業を知ってもらうにはどうしたらいいかを学ぶ良い機会になっています。この事業は「自分たちの体は食に支えられていて、その食の根源は農である」ということを体現的に学べる事業だと思います。いずれは、調理クズ等を土に還して、循環を含めた一連の流れが学べる活動になればいいなと思っています。






※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
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2015年06月30日

担い手農家を支援!農業コーディネートチーム「TAC!!」

TAC!!

 
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」31号/2015年夏号より転載)

 近年、様々な購買・販売ルートが発達し、ユニークな経営体が増えてきた農業界。時代と共に、農業者とJAとの付き合い方も変わってきているようです。今後、JAグループはどうあるべきなのか。様々な取組みがある中で、今回はJAグループで進めている担い手支援について、JA全農 営農販売企画部 TAC推進課 伊東悠太郎さんにお話を伺いました。

担い手農家を支援!農業コーディネートチーム「TAC!!」

―なぜ担い手支援をされているのですか?
 現在、日本の農業は高齢化が進み、農家数は年々減少しています。その一方、機械や農地は担い手に集約され、大規模農家が増加している現状があります。JAグループでは、そうした今後の地域農業の担い手の方々のご意見・ご要望に応えていくことが、地域農業の活性化に結び付くと考えています。そのために、その声をしっかりと聴く仕組みを作り、その声に基づいた施策立案や提案をしていこうと平成20年にTACを立ち上げました。

―TACについて詳しく教えてください。
 TACは、「地域農業の担い手に出向くJA担当者」の愛称であり、JAの様々な部署(営農指導や肥料農薬、農機担当者等)と担い手をつなぐ窓口です。全国約1800人のTACが、年間約10万経営体の担い手を訪問し、約77万回の面談を行っています。担い手が目指す経営ビジョンや抱えている課題、JAに対する要望等をお聞聴きし、解決していくための提案をします。
 例えば、「水田で野菜を作って、園芸複合化に取り組みたい」という担い手には、その経営体の経営規模やその地域の土地に応じた作物の提案を、「任意組織である集落営農を法人化し、経営意識を持って取り組んでいきたい」という担い手には、経営管理支援や法人化に必要な書類のフォローを、「収穫時期に人手が足りなくて困っているんだよ」という担い手には、労働力支援のための仕組みを作ったりと、全国各地で多様な取り組みを行っています。

―これらの取り組みは、担い手農家さんからも評価されているのでしょうか?
 JAとの付き合いが長い農家さんほど、JAグループの活動に良い評価をいただいているというアンケート結果もあります。信頼関係を構築することで、JAの存在意義やJAが持つ良い機能、メリット、努力などが、ようやく伝わるのだと思います。今後は、JAグループと接点の少ない若手農業者に対するアプローチや支援も積極的に取り組みたいと考えています。
 全国のTACは、担い手農家の最前線で日々奮闘されています。足繁く担い手農家の作業場や圃場に通い、腹を割って本当に色々な議論をされています。このTACの活動は地道な訪問の積み重ねです。この活動をもっともっと定着させ、認知してもらい、JAグループが担い手農家と協力しながら日本の農業を現場で支えていることを発信していきたいと思います。

TAC とは

5年後、10年後、もっと先の地域農業を担っていく農業経営者、つまり「地域農業の担い手」に日々出向き、その「担い手」の声・要望を収集し、JA内部で施策を立案し、担い手へ提案をします。その結果、担い手の農業経営が改善し、JAグループの事業拡大を目指します。そういった活動を行うJA担当者が“TAC”です。



1.TACの役割
@地域農業の担い手に訪問してご意見・ご要望をうかがい、誠実にお応えします。
A地域農業の担い手の経営に役立つ各種情報をお届けします。
B地域農業の担い手のご意見を持ち帰り、JAグループの業務改善につなげます。

2.TACの由来・意味
平成20年4月、一般公募により「地域農業の担い手に出向くJA担当者」の愛称を単協・連合会が一体(チーム)となって地域農業をコーディネートするという意味を持つ「Team for Agricultural Coordination」の頭文字をとって「TAC」と決定しました。

3.ロゴマーク

左側が地域農業の担い手とJA担当者であるTACが対話・相談しているシーンをイメージし、そうした対話を起点として生まれる課題解決やヒラメキを右側のエクスクラメーションマーク“!”で表現しました。

4.キャッチコピー

※TACという言葉にさらになじんでもらうために提唱しています。




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
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これからの農協と農家の関係を探る 〜「JA越前たけふ」を例に〜

これからの農協と農家の関係を探る 〜「JA越前たけふ」を例に〜
早稲田大学 政治経済学部 4年生 高田

 安倍政権の下で農協改革が進む昨今ですが、その改革が始まる前から、独自の方法で改革に成功してきた地域農協があります。福井県にある「JA越前たけふ」もその一つ。TPPや6次産業化など、農業を取り巻く環境は変化していますが、その中で、農家のために農協はどう行動すべきなのか。そのヒントを得られるのではないかと思い、お話を伺いました。


△写真左から、JA越前たけふ 企画担当 大塚さん、参事 青山さん、記者 高田。

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」31号/2015年夏号より転載)

 取材に応じて頂いたのはJA越前たけふ 参事 青山宏文さん。同組合では、米のブランド化、系統の全農や経済連を通さない直接販売、食味値や整粒値の数値化など、独自の方法を展開されてきました。
 「従来の農協とは違うやり方を始めたきっかけは、『農家のため』という思いからでした。この管内では化学肥料や農薬を減らした特別栽培米を生産する農家が多くいます。しかし、苦労して作ったお米を、系統経由で売ると普通のお米と同じ価格になってしまう。『農家の苦労に報いたい』。その思いから、特別栽培米を独自に直接販売する取組みを始めました。直接販売をすることで、消費者が何を欲しがっているのか、ニーズが見えてくるようになりました」。

 「農家のため」という思いから始まった改革。その先頭を切っていたのは、同組合の組合長(トップ)である冨田隆さんでした。冨田組合長の念頭にあったのは「農協の原点」だそうです。「農協は何のためにあるのか。もともとは農家が集まって、力を合わせていこうというのが農協の始まり。けれど、今の農協はその目的が見えなくなってきているのではないか」と、青山さんは指摘します。
 冨田組合長の指導の下、2009年から農家に軸足を置いたプロジェクトが立ち上がりました。改革のためには「トップが大切だ」と語る青山さん。どの組織であっても、慣行のやり方に身を任せておけば、仕事は進んでいきます。「『流れに任せておけば楽に仕事ができる』。そのような意識が職員の中にもあるために、改革まで踏み込むのは難しいのではないでしょうか。改革のためには、トップの改革断行の強力なリーダーシップが重要になるのではないかと思います。私たち職員は、『農家のための農協を目指そう』という冨田組合長の熱い思いに突き動かされました」。

 一方で、世間では農家の農協離れが進んでいると言われています。今、農協は農家とどう向き合うべきなのでしょうか。「農家の希望に沿った事業運営をしていなければ、農協離れが進んでしまうのではないか」と青山さんは指摘します。希望に沿う事業の一つとして、同組合ではお米の「インセンティブ買入制度」を設けています。これは、慣行栽培米よりも特別栽培米を高く買い取る制度ですが、特別栽培米の中でも、整粒値および食味値が高いものに関しては、より高く買い取ります。この方法を取り入れたことで、直接販売から農協出荷に切り替える農家も多くなったそうです。そして、集荷されたお米は、同組合が自ら開拓した米穀販売店や飲食店等に販売します。「整粒値や食味値の数値は、米袋にも貼っています。数値化は品質の細分化が出来るので販売戦略も立てやすくなりますし、信頼も得られますね」。
 また、TPPが締結されたとき、食の安全も大きな問題の一つになると考えられます。消費者が安全なお米を食べられるためにも、消費者と農家のつながりを強めていくことも必要ではないかと思います。毎日食べているお米がどこから来ているのか、消費者一人ひとりに意識してもらうことで、農業に対する関心を高めていくこともできるのではないでしょうか。

 最後に、農業に興味を持つ学生へメッセージをいただきました。
「キツイ、汚い、というマイナスイメージを持たれがちな農業ですが、『晴耕雨読』と言ったように、本来は自然と一体化してできる良い仕事です。しかし、一生の仕事として農業を選ぶとき『将来的にやっていける』という展望を提供できなければ、意欲を持って飛び込めないのではないでしょうか。私たちは農協という立場から、若い人たちが積極的に取り組めるような環境も作っていきたいですね」と仰る青山さん。
 農業の在り方は大きく変化をしてきましたが、このように農家と真摯に向き合っている農協もあります。農協と農家、相互にとって良い関係となれるような取り組みを今後も期待します。

取材を通して

 大学2年のときに参加した農業体験から農業経営と農協に興味を持ちました。
 また、昨年、新聞記事でJA越前たけふさんを知り「新しい農協のあり方が生まれてきているのではないか」と強い関心を抱き、今回の取材に至りました。
 取材で印象に残ったことは、なによりも「農家のための農協」という思いを強く持たれていることでした。「誰のために働くのか」という視点は、農協に限らず見失ってはいけないものなのではないかと感じました。




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
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