農業界地図ロゴ

2016年09月30日

熱い!学生団体 【田畑と森と海でつながる学生団体〜いろり〜】

田畑と森と海でつながる学生団体〜いろり〜

「『大学生がここまでやっているのか!』と会場で感じてもらいたい!」

いろり (2).jpg 田畑と森と海でつながる学生団体〜いろり〜(以下、いろり)5代目代表の堀内さんは、2016年11月に開催される「食と農林漁業大学生アワード」(以下、大学生アワード)について、そう熱く語りました。

大学生アワードとはどのようなイベントなのか?
そもそも「いろり」とはどのような団体なのか?
5代目代表・堀内さん(宇都宮大学2年生)さんと、大学生アワード2016リーダー巽くん(東京農業大学1年生)に伺いました!

全国の学生団体をつなげる!

―「いろり」とは、どのような団体ですか?
 私たちは、「全国の学生とともに日本の第一産業を盛り上げる」を理念に掲げている学生団体です。具体的には、農林漁業や食をテーマに活動している全国の学生団体とネットワークをつくり、それら団体の情報発信をしたり、団体同士がつながる機会をつくっています。

―なぜ、「繋がりをつくる」活動をされているのですか?
 私たちはいま、全国約200団体と繋がりがあります。例えば、自分たちで野菜を作って生産の大変さや楽しさを学んだり、農家さんのお手伝いをしたり、レシピ開発をして食の素晴らしさを伝えたり、森林保護活動をしたり、様々な団体がありますが、普段の活動の中で他の学生団体と繋がる機会はあまりありません。しかし、せっかく第一次産業≠ニいう同じ軸で活動しているのに、他の団体の活動を知らなかったり、繋がりがないのは、すごくもったいないと感じているからです。

―団体同士がつながるメリットは、どのような点にあると思われますか?
 大学や地域を超えた繋がりを持つことは、それぞれの地域でしか聞けない情報を聞けたり、新しい知識を得られるなど、お互いに大きな刺激が生まれます。
 例えば、私たちは全国の学生団体のリーダーが集まる「リーダーズキャンプ」や「大学生アワード」の運営など様々なイベントを行っていますが、参加者からは「成長できた」「刺激をもらえて良かった」など嬉しい声が聞けました。また、多くの学生団体からは、「団体を継続するのが大変だ」とよく聞きますが、同じ悩みを共有することで全国に励まし合える仲間ができたり、他の団体の活動を知ることで解決策を見出すことでもできると思います。

いろり (3).jpg

 なかには、学生団体同士がコラボして新たな企画が立ち上がったり、頑なに「県内で活動出来たら十分!」と言っていた学生が「もっと遠くの地域へ行って色んな学生と繋がりたい!学びたい!」と言ってくれたり、様々な相乗効果が生まれました。
 そうした想いは一つひとつが火種≠セと思います。それを集めて大きな炎にすることでいろり≠ェ出来上がります。学生同士が刺激を与えたり与えられたり、刺激のサイクルを作ったり、それが私たちの活動であり、それらを通して第一次産業を盛り上げていきたいと思っています。
 その熱や想いを多くの方に感じていただけるイベントが、11月に開催する「大学生アワード」です。

―どのようなイベントですか?
 「大学生アワード」は、農林漁業や食をテーマに活動する学生団体が日頃の活動を発表し、最も優秀な団体に「農林水産大臣賞」を授与する年1回のプレゼン大会です。本番では、書類審査を勝ち上がった10団体が発表しますが、どの団体も熱い想いをもって活動しており、『大学生がここまでやっているのか!』と、衝撃を受けていただけると思います。
 今年は11月6日に東京・丸の内にて開催します。観覧は無料ですので、ぜひ会場へお越しいただき、学生たちの熱い想いを感じてください!

※下記イベントは終了しました。
いろり (1).jpg



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る





posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 学生・学生団体

【新規就農者に聞きました!】 就農のきっかけ&目標!

「みかん農家になる!」と決意し、真穴地区(愛媛県八幡浜市)で新規就農された松山寛さん(32)と加屋本一輝さん(33)。就農のきっかけや目標を、真穴共選の皆さまと一緒に伺いました。

真穴の新規就農者お二人.jpg
△ 加屋本さん(左)と松山さん(右)

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」36号/2016年秋号より転載)

就農のきっかけ&目標!

―就農のきっかけを教えてください。

松山:
 僕は千葉県出身の非農家ですが、中学生の頃から農業に興味がありました。みかんが好きで「作るならみかんがいいな」と思っていたので、愛媛県立農業大学校へ進学しました。卒業後はみかんの生産・販売等を行う愛媛県内の農業法人で8年間勤務し、その後、ここ真穴地区でみかん農家として独立しました。いまで4年目です。

加屋本:
 俺は仙台出身です。ハタチくらいから外国に行ったりスキー場で働いたり、いろんなところを渡り歩いている中で、友人から真穴共選の「みかんアルバイター」を紹介してもらいました。みかん収穫期の11月〜12月の2カ月間のみ働けるというのがタイミング的にちょうど良かったので参加しましたが、なんかこうグッとくるものがあって、3年連続で参加しました。そして、「ここに残って、みかん農家やりたいな」と思うようになり、就農しようと決めました。去年は研修生としてお世話になり、今年から独立しました。

―耕作面積はどのくらいですか?

松山:
 僕は2町くらいですね。最初は1町5反くらいでしたが、色々と声をかけていただき今の面積になりました。

加屋本:
 俺は8反5畝です。最初は農地を借りることが難しく、真穴共選の方にご協力いただき5反借りることができました。

大下:
 面積が広がったのは、二人の働きぶりを見て「こっちもやってくれんか」と声をかける地域の人が出てきたからなんです。本人次第ですよ。二人とも、よく頑張ってるから。

―実際の作業はどのような感じですか?傾斜地での作業は、素人ながらに大変そうだなと思いますが…。

松山:
真穴の風景(夕日).jpg 平地に比べれば楽ではないですが、こういう地域だからこそ美味しいみかんができると思います。それに、毎日作業するのが楽しいです。作業をしててパッと見たら海が見えますし、終わって帰るときは夕日がすごく綺麗です。景色がとにかく綺麗なんですよ。それだけでも十分楽しく過ごせますね。

大下:
 松山君は昨年、真穴共選の「早生の部」でトップ10に入りました。新規で始めて、しかも良い畑ばかりでないのに上位のみかんを作ったということで、「これは負けられん」という感じで、地域にすごく刺激を与えましたよ。

松山:
 ある程度ライバル意識がある方が、お互いに高め合えますよね。

渡邊:
 それ、一番大事!

加屋本:
 俺はまだ1年目なので、早く色んなことを覚えて、ちゃんとしたみかんが作れるようになりたいですね。みかんが出来たら友達にも食べてもらいたいし、「うまい!」って言わせたい。今年が初収穫になるので、今から楽しみです!

―今後の目標を教えてください!

松山:
 どんどん収量を上げていきたいですね。100トンくらいいきたいと思っています。そのためにも、計画をもっと詰めていきたいと思います。

加屋本:
 「就農したけど、こけました、ダメでした」ということには絶対したくない。真穴の皆さんのおかげでみかん農家になれましたし、もちろん、ここでずっとやっていくと思って就農しました。だから、みかん農家として、この地でずっと生活していきたいと思います。




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る




posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 農業法人・農業者

価格決定権を握り、産地を守る! 【JAにしうわ真穴柑橘共同選果部会】

Aにしうわ真穴柑橘共同選果部会 (愛媛県八幡浜市)

真穴共選 (3).jpg 「子供の世代、孫の世代まで、良い販売ができる基礎を作りたい」
 そう語るのは、JAにしうわ真穴柑橘共同選果部会(以下、真穴共選)共選長の渡邊勇夫さん。今回は産地側が取り組む流通・販売について、共選長の渡邊さん、副共選長の大下さん・井上さん、事務所長の緒方さんにお話を伺いました。

☆写真:共選長の渡邊さん(中央)と、副共選長の大下さん(左)と井上さん(右)。お三方とも農家。
山を切り開き築かれた段々畑からは、おだやかな海が一望できる。

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」36号/2016年秋号より転載)

価格決定権を握り、産地を守る!

―今回は「農業を支える流通」をテーマにお話を伺いたいのですが、まずは、みかんの特徴と流通形態を教えてください。

渡邊:
 当部会が扱う「真穴みかん」は、当地区180戸の農家が生産する温州みかんのうち、当部会が集荷し、非破壊光センサー等を用いて選果し、糖度・大きさ・見た目など厳しい基準をクリアしたみかんに対して付けるブランド名です。収穫期(農繁期)の11月〜12月は休みなく集荷・選果・出荷し、その出荷量は毎日約200トンに上ります。
 出荷形態は、市場出荷と個人のお客様への直販が大きな2本柱です。直販に関しては、規模が大きくなり業務が回らなくなってきたので別会社を設立しました(⇒詳細は後半に掲載している「旬香物産」をご参照ください)。

真穴共選 (1).jpg
△収穫直前のみかん(2013年11月撮影)。
真穴地区で温州みかん栽培が本格的に始まったのは明治40年頃。昭和39年には農産物の最高峰・天皇杯を柑橘類で初めて受賞するなど、100年以上続く国内有数のみかん産地の一つです。

―市場出荷だと価格は市場側(買い手)によって決められますよね?

渡邊:
 当部会は「相対売り」が基本なので事前に概ねの価格は決まっています。具体的には、事前に卸売業者・小売業者・当部会の3社で話し合い、次シーズンの取引量や価格について決定します。

緒方:
 真穴みかんを「せり」で取引をしているのは地元の市場だけですね。昨年実績では、真穴みかんは74%が市場出荷ですが、そのほとんどが関東圏の市場なので、ほぼ「相対売り」になります。

渡邊:
 「相対売り」なので『相場が崩れた』からと言って大きな影響は受けません。むしろ、『真穴みかんの価格が崩れた』となれば全国の温州みかんの相場が崩れるというくらい影響力があり、それだけ最高級みかんを作る産地として認められています。

―すごい影響力ですね…!取引の際はどのよな点に気を付けていますか?

渡邊:
 メーカー(農家)側が価格決定権を握る。例えば、買い手側から「これだけ大量に買うのだから値下げしてほしい」と要望されたとしても、安易に「はい」とは答えません。みかんの品質を担保する分、適正価格で取引いただかないと産地を守れなくなるので、妥協してはいけません。価格を維持するにはテクニックも必要ですが、何より、売り手も買い手もWin-Winであることが重要です。
 あと大切なのは、「今年の売り上げ」のみを考えるのではなく、「子供の世代、孫の世代までを考えた基盤を作る」こと。私は就農してから25年経ちますが、その間に社会インフラは大きく変わりました。インターネットが普及し、今や畑にいてもスマホでショッピングができます。共選長になってからは4年目ですが、時代の変化に対応し、先が読める人材や組織を作ることが重要だと思います。そのためには改革が必要です。価格決定権を握ることはその一つでもあるのです。

―渡邊さんも農家なのですか?

渡邊:
 そうです。当部会の役員は地区の農家から選出されます。ここにいる副共選長の二人も農家ですよ。これまで生産に注力すれば良かった農家が役員に選ばれて180戸の農家の生計を支える営業マンになる。その責任はとても大きい。みかん生産のことだけ知っていてもこの仕事はできないので、流通・販売をはじめ、とにかく幅広い知識が必要です。

― 一括りに「流通・販売」と言っても、経営体によって考え方や手法は大きく変わるのですね。ところで販売にはクレームがつきものだと思いますが、どのように対応されていますか?

緒方:
真穴共選 (2).jpg 当部会が市場出荷をする場合、販売先は主に大手量販店です。つまり、消費者に「真穴みかん」を販売するのはその大手量販店なので、クレームが発生した場合は、主にその大手量販店が対応されます。
 ただ、みかんの箱には当部会の電話番号が書かれているので、直接こちらに電話がかかってくることもあります。内容としては「買ったみかんが傷んでいる」というのが一番多いのですが、ここで重要なのは、その流通過程をしっかり確認すること。それと言うのが、ひょっとしたら途中で運送会社が落としたのかもしれないし、そもそもそのみかんは「真穴みかん」ではないのかもしれないなど、様々なことが考えられるので、まずは事実確認が重要です。

(右写真:事務所長の緒方さん。手にしているのは「真穴みかん」の加工品紹介パネル)

―ここでも「流通」が大きなポイントになるのですね。他に課題はありますか?

緒方:
 流通には直接関係しませんが、収穫期の人手不足や選果作業員の人手不足は課題ですね。

井上:
 その解決策の一つとして、収穫作業を手伝ってくれる「みかんアルバイター」を募集しています。この地区の農家は全て家族経営体ですが、家族だけではどうしても手が足りません。せっかく良いみかんを作っても収穫できないとだめになってしまうので、アルバイターの方が来てくれると大変助かります。アルバイターは県外の方が多く、毎年200名近い方が参加されますが、中にはこの地で就農される方もいますよ。(⇒新規就農者のインタビュー記事を読む)。

渡邊:
 選果作業員も独自に募集しており、ピーク時には100名を超える方が選果場で働いています。最新鋭の機械も導入していますが、やはり人の感覚や経験値は重要です。その経験値を可視化し、未経験者でも同等に働くことができる環境を整えることも、我々の重要な仕事の一つです。

大下:
 加えて、アルバイターや選果作業員として参加した人が、みかん農家を就職先の一つに考えるきっかけになれば嬉しいです。実は、私は新潟県の非農家出身ですが、この地域とみかんに魅力を感じ、大学卒業後ここへ移住し就農しました。就農希望者には農地探しも手伝いますので、ぜひご連絡ください!

―最後に今後の目標をお願いします!

渡邊:
 確固たる地位と、ゆるぎない価格を確立する。そして、日本一の産地を目指す!これに尽きますね。


真穴共選 (4).jpg
△取材に伺った8月下旬は、みかんはまだまだ青く小さかった。この時期は余分な果実を間引きする摘果作業が行われます。(写真左:摘果前のみかん/右:摘果と無駄な葉を取る作業を教っているところ)


丁寧な対応で根強いファンづくり! 旬香物産株式会社

真穴共選 (5).jpg 真穴共選の直販部門が独立し5年前に設立された旬香物産(株)。
「お客様との会話を大切にしています」と話す井上社長に、直販のポイントを伺いました。
(右写真: 井上社長よりDMのポイントを伺う学生スタッフ)

―貴社は「真穴みかん」の個人直販をされている会社だと伺いました。
 そうです、「真穴みかん」の生果やジュース等の加工品を販売しています。他に、近隣の三崎共選さんと連携し、収穫時期が「真穴みかん」よりも遅い「伊予柑」や「ポンカン」といった柑橘類(中晩柑)の生果や加工品を販売しています。

―直販をするうえで大切にしていることは何ですか?
口コミですね。当社ではネット通販を扱っていますが、それは一つの窓口であって、口コミで広がっていくことが何より大切だと思っています。そのためにも、お客様に満足度を上げていただくためにはどうすべきかを常に考えています。

―どのような工夫をされていますか?
 最も大切なことは、お客様からいただいたご注文を間違いなく処理してお届けすること。当たり前のことですが、1回1回を正確に積み重ねていくことが大切です。あと、しっかり会話をすること。例えば先日、ジュースを購入されたお客様から「最近雨がひどいから箱が濡れない工夫をしてほしい」とお電話をいただきましたが、「ビニールをかけて送ります」と返答しつつ「愛媛は全然雨が降らず困っていますが、皆さん工夫しながらみかん作っていますよ」とお話しました。当社のお客様は産地のことを気にかけてくださっている方が多いので、こうした世間話がとても重要です。その他、DMも 一新しました。料金別納の印をみかんマークにしたり、お客様に応じて封入するチラシの見せ方を変えたり、届いた時に感動していただける演出も大切にしています。

―今後の目標を教えてください!
真穴共選の農家さんが作ったみかんを良い形でお客様に届けていくのが当社の大きな役割です。今の顧客数は約1万人ですが、昨年よりもより多くのお客様にみかんを届けていきたいですね。

真穴共選 (6).jpg
△封筒と両面印刷のチラシ。
封筒は、別納料金をみかん印に、中面をオレンジ色にして、みかんの雰囲気を出している。

公式サイトへリンク

・JAにしうわ真穴柑橘共同選果部会(真穴共選) ⇒ http://www.marumamikan.com/
・旬香物産株式会社 ⇒ http://www.maanamikan.com/shop/




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る




posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 流通・市場・小売

信頼と義理人情がつくる、農と食の「架け橋」 【東京青果株式会社】

東京青果株式会社(東京都大田区)

東京青果 (2).jpg 大田市場の卸売業者の一社であり、卸売業者の中で規模・売上げともに日本一を誇る東京青果株式会社さん。
 今回は、能力開発課 課長 高橋さん、課長補佐 小澤さん、係長 齋藤さんに、業務内容や心意気について伺いました。

☆写真:小澤課長補佐(左)と斉藤係長(右)。
市場内には多種多様な荷物が並び、柱には東京青果さんの屋号「東一」の文字が見える。

(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」36号/2016年秋号より転載)

信頼と義理人情がつくる、農と食の「架け橋」

―貴社が考える市場流通の機能やメリットを教えてください。
 当社では全国の産地から届いた農産物を大田市場で買参登録している仲卸業者や売買参加者にセリや相対売等を通して販売していますが、卸売市場の大きなメリットの一つは「ワンストップショッピング」です。青果物を市場に通すことで出荷する方も買う方も1カ所で済みますので、輸送費や品目を揃えるための手間といった様々なコストが大幅にカットされます。また、我々の使命は、「川上」と「川下」を繋ぎ、農産物を安定供給することです。

―扱う商品が農産物だと気象条件によって安定供給にも影響が出ると思いますが、どのように解決されていますか?
 もちろん、天候次第で出荷量が大きく変わるなど影響は受けます。その時は最大限の努力をします。例えば、豊作で出荷される品物が多い時でも全てを引き受け、逆に出荷数が少なく希望納品数に満たない時はできる限り全国から集めて供給します。しかし、需要より供給が多い日が長く続いたり、どれだけ頑張っても集められなかったりと限界はあります。その場合は、市場の状況、産地の状況を産地の方とお客様の双方へ、きちんと説明します。
 そのように地道に努力を重ねたり、お客様と常に連絡を取り合うことで、「川上」「川下」の両者から信頼を得ることができます。市場の仕事は人と人との信頼関係で成り立っている面が強いですし、義理人情が厚い業界だと思います。

―信頼関係が大切なのですね。連絡は頻繁にされているのですか?
 そうですね。当社では「トマト」「キャベツ」など品目別に担当を置いていますが、担当している産地の方とは1日に何度も電話をしてリアルタイムでやりとりをしています。中堅社員以上になると携帯に1000件近くも連絡先が入っています。
 日頃は電話連絡が多いのですが、直接産地へ伺うことももちろんあります。担当品目によっては全国各地に産地があるので、様々な地域の方と交流できることも楽しみの一つですね。たまに方言が理解しにくい時もありますが、だんだん慣れてきますし、話をすることで仲良くなって信頼感もより深まっていきます。

―なぜ品目担当制なのですか?
 その品目のプロフェッショナルになってほしいからです。例えば、スーパーへ行くと1年中キュウリが売られていますよね。これは「産地リレー」といって、今の時期なら東北・北海道、秋は関東、冬は四国・九州という風に時期に応じて産地がスライドしていきます。産地側は「現在の価格や、いつ頃から出せば良いのか」が気になり、顧客側は特に端境期が気になります。品目担当制をとることで地域をまたいだ情報収集ができ、双方が求めている情報をリアルタイムでお伝えすることができます。「日本で一番その品目に詳しくて、日本で一番売っている担当者」。それが理想ですね。

―最後に、今後の展望と学生へのメッセージをお願いします!
 当社はこれまで「業界1位」として卸売業を行ってきましたが、これからは「業界のリーダー」として業界全体を引っ張っていきたいと考えています。
 また、我々の仕事は全国の農家さんが出荷してくれて初めて成り立ちます。需要と供給のバランスから価格はどうしても変動しますが(※)、農家さんが来年もその先も農業を続けて農産物を出荷いただくためにも、我々は責任をもって販売をしています。一方で、消費者向けの販促活動も行っています。野菜や果物の栄養・健康面をアピールしたり、試食宣伝を行うこともあります。このように我々の仕事は、生産者と消費者のお役に立ち、広く社会に貢献するという志を大事にしています。
 当社の仕事は、青果物という天候に左右される商品を扱っているので、仕事自体はルーティンワークに見えても、日々状況が変わるので毎日ドキドキです。しかし、一生懸命やればやるほど農家さんのためにもなり、消費者のためにもなります。卸売業に興味がある方は、ぜひ就職先としても考えてほしいですね!

(※)これを「相場」という。全国の農産物の相場は大田市場の相場を参考にする場合が多く、ニュース等でも大田市場の相場や市場の風景が取り上げられることが多い。

東京青果 (1).jpg
△セリの様子。正面の赤い帽子を被っているのが東京青果のセリ人で、手前が仲卸業者または売買参加者。
*セリ人になるには「セリ人試験」(現場経験が3年以上必要)に合格する必要がある。



※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る




posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 流通・市場・小売

市場業務を円滑に進める縁の下の力持ち=y東京都中央卸売市場 大田市場】

東京都中央卸売市場 大田市場(東京都大田区)

大田市場 (2).jpg日本一の規模を誇る大田市場。
今回は、市場の仕組みや開設者(東京都)のお仕事について、東京都中央卸売市場大田市場 市場管理課 菅原さんと相原さんに伺いました。
☆写真:菅原さん(左)と相原さん(右)。
(※当社発行の農業フリーペーパー「VOICE」36号/2016年秋号より転載)

市場業務を円滑に進める縁の下の力持ち

―大田市場を管理しているのは東京都の職員さんだとお聞きました。
 そうです。市場は大きく分けて、農林水産省の許可を受け地方公共団体が開設・運営する「中央卸売市場」と、都道府県の許可を受け地方公共団体や民間企業等が開設・運営する「地方卸売市場」に分かれます。ここ大田市場は「中央卸売市場」に分類され、東京都が建物をつくり、日々の運営・管理を東京都職員が行っています。

―具体的な仕事内容を教えてください。
 担当によって異なりますが、例えば、当市場に入っている卸売業者さんや仲卸業者さん等から家賃の徴収・管理をする担当、市場の魅力をPRする担当、建物の修繕や電気の補修といった施設管理の担当などがいます。また、実際に市場で行われる取引(生鮮食料品の荷受け、セリ等)は卸売業者さんや仲卸業者さんがされていますが、セリが公正に行われているかや掲示物に問題がないか等をチェックする担当もいます。
 出勤時間は、8時半や9時の者もいれば、青果部の早朝巡回の際は6時半など、数パターンあります。
 東京都には現在11カ所の中央卸売市場がありますが、各市場に東京都職員が配属されています。市場によって野菜・果物・食肉・魚・花きなど様々な生鮮食料品を取り扱っています。市場流通は青果・水産物で約6〜7割程度を占めており、都民の食に関わる大事な仕事ですので、それに携われることは嬉しいですね!

―どのような点に仕事のやりがいや楽しさを感じていますか?
 日本一の市場ということもあり外国からの視察団も多いのですが、「日本一の場所で働いている」と実感できる点もやりがいになりますし、季節によって取引される農産物が変わるので四季を感じることもできます。あと、現場に近い職場という点も楽しいですね。卸売業者さん等と直接会ってお話しすることも多いですよ。

【参考】大田市場内の業者の数(平成28年1月1日現在)
大田市場 (1).jpg
*大田市場では29名の東京都職員が市場業務を円滑に進めるため日々働いている。
 まさに、“縁の下の力持ち”。

―市場流通のメリットも教えていただけますか?
 一番は、代金決済が早い点です。中央卸売市場では確実な取引の決済を行うべく、即日支払いの原則及び代払制度による確実な代金決済を行っています。一般企業だと翌月払いや翌々月払いが多いので、その差は大きいですね。また、市場では毎日早朝から監視指導が行われているので、農産物の安全性が担保できる点もメリットです。

―課題もありますか?
 ありますね。例えば大田市場なら、施設の老朽化やスペースの狭隘化(きょうあいか)といったハード面等の課題があります。他の市場では、例えば住宅街に近いため騒音問題が起こるなど、立地等によっても課題は異なります。

― 一括りに「市場」と言っても様々ですね。ところで、大田市場には一般者向けの見学ルートがあり驚きました。
 見学ルートが整備されている市場は珍しいですね。ただ、「市場は安全な農産物が届けられる大切な場所だよ」と周知するため、広報担当や各市場では様々な取組みをしています。例えば当市場では、2年毎に「大田市場まつり」を開催しています。普段は一般の方が来られても見学以外はできないのですが、その日は野菜や魚を直接販売したり、マグロの解体ショーなど様々な催し物をしたり、パネル等で市場の魅力をPRしていますので、ぜひお越しください!

―最後に、学生に一言お願いします!
 農業を支える仕事は色々ありますが、管轄元の農林水産省や開設者の東京都、実際に取引を行う卸業者さんなど、市場に関わる企業・団体等もその一員だと思います。将来、農業を支える仕事をしたいと考えている学生さんは、市場の仕事にも目を向けていただけると嬉しいですね!




※記載情報は取材当時のものです。
※無断転用・転載・改変を禁止します。引用の際は、当社までご連絡ください。
インタビュー一覧へ戻る




posted by agri-map at 00:00| Comment(0) | 流通・市場・小売